古典分子動力学法

原子や分子を古典的な粒子と考え、ニュートン方程式を解くことによりその動きをシミュレーションする手法。微分方程式の解法としては、ルンゲ・クッタ法や速度Verlet法などの積分法が用いられる。エネルギー一定・体積一定のシミュレーションだけでなく、例えば能勢-Hooverの熱浴を導入することにより温度一定の条件でシミュレーションを行うことができる。同様に、圧力一定や化学ポテンシャル一定など、様々なアンサンブルでの計算が可能である。粒子間のポテンシャルエネルギーは力場と呼ばれる。力場についても、剛体球ポテンシャルやレナードジョーンズポテンシャルのような単純なものから、クーロン相互作用のように長距離に及ぶもの、第一原理計算の結果をフィッティングすることにより得られた非常に高精度なものなど、研究の目的や対象に応じて、種々様々な力場が用いられる。

変分モンテカルロ法

試行波動関数を用意して、その試行波動関数が含むパラメータを変分原理に従って最適化することで量子多体系の基底状態(または低励起エネルギー状態)の波動関数を求める手法。フェルミオン系に対する応用では,試行波動関数として一体部分(Slater行列式)に多体相関をとりこむために密度相関の演算子を指数関数の肩にのせたGutzwiller-Jastrowタイプの相関因子を付け加えた波動関数を用いるのが一般的である。試行波動関数に対する物理量の期待値計算の部分にモンテカルロ法を用いているため、変分モンテカルロ法と呼ばれている。モンテカルロ法ではあるものの負符号問題は発生しないため、様々な系に適用できる汎用性の高い手法であることから、第一原理計算[CASINO]・量子化学計算[QWalk]・格子フェルミオン系[mVMC]など幅広く用いられている計算手法である。

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実行ジョブ管理

スパコンなどの大規模共用計算機では、ユーザは使いたい計算機資源(計算機の数と時間)を要求し、ジョブ管理システムから動的に割り当てられた資源を使って計算(一般にジョブと呼ぶ)を行う。この一連の流れを補助するために、自動で資源申請を行ったり、割り当てられた資源を自動的にうまく使ったり(負荷分散・ロードバランス)、計算の途中経過を保存・再開したり(チェックポイント機能)、計算結果を入力とともに保存・管理・整形したりする機能を持ったツール・ライブラリが存在し、本サイトではこうした機能を「実行ジョブ管理」と称する。

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密度汎関数法

密度汎関数理論に基づいて系のエネルギーや種々の物性を計算する手法全般。密度汎関数理論は、系によらない電子密度の一意な汎関数から系のエネルギーや物性を計算できることを示したHohenberg-Kohnの定理によって理論的基盤を得た。この定理は、N電子系を記述するのに、3N個の変数を有する波動関数に対するシュレディンガー方程式を解く必要はなく、3個の変数を有する電子密度を取り扱えば十分であることを示している。従って、多電子系を記述するための非常に強力な理論であるが、汎関数の形そのものに対する処方箋を与えるものではない。汎関数の良い近似形については現在も盛んに研究が行われている。

密度行列繰り込み群(DMRG)

密度行列繰り込み群法は,離散空間量子多体系の与えられたハミルトニアンに対して,その基底状態における諸物理量の期待値を求めるための手法である.変分関数として行列積状態を用いた変分法とみなすこともできる.したがって,一般に行列積状態がよい近似を与えるような場合,例えば1次元的な量子多体問題などで効果的である.この方法は行列積状態の構成要素である行列の次元を大きくすることで原理的にはいくらでも近似の精度を上げることが可能であり,行列次元の関数として計算結果がどのように変化するかが計算の信頼度を図る一つの指標になる.また,行列積状態はテンソルネットワーク状態の特殊な場合であるので,DMRGはテンソルネットワーク法の特別な場合とみなすこともできる.

平面波基底

波動関数を平面波展開で表現する手法。平面波は規格直交基底をなすので、基底を大きくすれば(たくさんの異なる波長を有する平面波を用意すれば)しただけ単調に精度が良くなる。しかしながら、原子核付近の波動関数の急峻な変化を表現するためにはかなり多数の平面波を要するため、不向きである。これを回避するために、(L)APW法や擬ポテンシャル法が考案された。

拡散モンテカルロ法

量子モンテカルロ (QMC) 法に基づいた手法である。シュレディンガー方程式の解における虚時間発展の演算子は、基底状態への射影演算子として働く。拡散モンテカルロ法では,それぞれ重みをもつ,多数のウォーカーを用意し,基底波動関数からなる空間内でランダムウォークさせる.その際,ウォーカーの分布関数が虚数時間依存のシュレーディンガー方程式の時間発展を満たすようにランダムウォークの規則を選ぶ.初期分布を求める際など,他の変分原理に基づく計算法と合わせて使われることが多い.アプリケーションとしては、CASINO や QWalk などがある。

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擬ポテンシャル法

内殻電子軌道は化学結合にほとんど寄与しないことから、その影響を有効的なポテンシャル(擬ポテンシャル)に押し込めることで、計算量を減らすことができる。これによって、比較的緩やかに空間変化する外殻軌道のみを考慮すればよくなり、特に平面波基底を用いる場合に基底関数系の大きさを抑えることができる。

時間依存密度汎関数法(TDDFT)

時間依存する多電子系の電子状態を密度汎関数法の枠組で取り扱う手法。通常の密度汎関数法では、基底状態のエネルギーが電子密度の汎関数で与えられることを前提とするが、これを時間依存する系へと拡張して、時間依存する電子密度についての汎関数を構成することができる(ルンゲ-グロスの定理)。この汎関数から導かれる方程式を解くことにより、分子や固体の電子状態の時間発展を高速に計算することができる。強い外場下での非線形応答を議論できることが特徴であるが、系の線形応答(光学応答や誘電応答など)を計算する際にも用いられる。多くの第一原理計・量子化学パッケージでサポートされており、代表的なものとしてVASP, CASTEP, ABINIT, QUANTUM ESPRESSO, PHASE, Gaussian, GAMESS-USなどを挙げることができる。

有効遮蔽媒質法(ESM法)

スラブモデル(2次元方向にのみ周期境界条件を課した3次元空間中の物理系モデル)において、帯電した系や電場印加下の物質の電子状態を取り扱うときに用いられる第一原理計算の手法。2次元の周期境界条件を満たしながら、それに垂直な方向に対して境界条件を設定し、その条件下でのポアソン方程式をグリーン関数法によって解くことで、電場印加や帯電の効果を適切にとりこむことができる。多くの第一原理計算パッケージでサポートされている。