ランチョス法

行列の全固有値・全固有ベクトルを求める全対角化は、lapackなどのパッケージが整備されているが、スーパコンピュータを使っても百万次元程度の行列の対角化が限界である。物性物理の分野では、最もエネルギーが低い基底状態近傍の固有値・固有ベクトルに興味があることが多く、そのために広く使われているのが、ランチョス(Lanczos)法である。

この方法では、初期ベクトル(多くの場合はベクトルの各成分を乱数にしたランダムベクトル)にハミルトニアンを順次かけていくことによって、最もエネルギーの低い基底状態のベクトルを抽出する方法である。原理的にはベクトルを二本保持するだけで計算が実行できることから、全対角化に比べて計算コストが低く、全対角化で取り扱うのが不可能な数億-数百億次元の行列の基底状態を求めることができる。

ランチョス法が実装されているアプリはTITPACK,KobePACK,SpinPACK,ALPS,HΦがある。HΦでは特に、近年提案された低エネルギー固有状態を求めるLOPBCG法 も実装されており、一度の計算で、多数の(基底状態を含む)低エネルギー固有状態を求めることができる。