GW法

多電子系の準粒子エネルギーを摂動論的に求める手法の1つ。多電子系の自己エネルギーを1粒子グリーン関数Gと遮蔽クーロン相互作用Wで近似する。これによって、光電子分光スペクトルなどが、局所密度近似や一般化勾配近似を用いたKohn-Sham法に比べてかなり精度良く求まり、実験との定量的な比較が可能になってきている。ほとんどの計算コードでは、GW近似はKohn-Sham波動関数に対する摂動の形で実装されている。

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シミュレーテッドアニーリング

最適化問題を解くための一般的な数値手法。焼きなまし法とも呼ばれる。

コスト関数(エネルギー)が最小となる状態(解、基底状態)を求めるために、コスト関数が一番下がる方向へと状態を更新していくと、局所解にトラップされてしまう。それを避けるためには、コスト関数の値が増える方向への変化も許容するような状態更新を行っていく必要がある。コストが増大するような状態更新を許容する度合をコントロールするパラメータを「温度」と呼び、コスト増に寛容な「高温」から、コスト増を許さない「低温」へと徐々に冷やしていくことで、大域解に到達する手法がシミュレーテッドアニーリングである。

物理的な視点では、熱ゆらぎによって自由エネルギー障壁を乗り越えることで局所安定解を脱出する過程を利用して、熱ゆらぎを徐々に弱くすることで最適化問題を解く手法といえる。量子力学では、絶対零度で熱ゆらぎがなくても、量子ゆらぎによってエネルギー障壁を乗り越えることができる(トンネル効果)が、量子ゆらぎの強さを徐々に弱くしていくことで最適化問題を解くのが量子アニーリングである。

数値的に量子アニーリングをシミュレーションすることもできるが、実際に量子ゆらぎをコントロールすることで、自然に最適化問題を解かせることができるのがアニーリング方式の量子コンピュータである。

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全電子計算法

電子状態計算において、内殻電子、価電子に関わらずすべての電子を陽に取り扱う方法を指す。内殻電子の影響を擬ポテンシャルに押し込み、価電子のみを陽に取り扱う方法(いわゆる擬ポテンシャル法)と比べて、一般的に計算精度が高いのが特徴である。また、内殻電子を陽に取り扱うことから、内殻電子の X 線分光計算への適合性が高い。一方、考慮する軌道の数が多くなることから、計算量は擬ポテンシャル法より大きくなる。内殻軌道の急峻な変化と、格子間の緩やかな変化に同時に効率的に対応するため、アプリごとに様々な工夫がなされている。
関連ページ:全電子計算法と擬ポテンシャル法の違いはなんですか?

実空間基底

電子状態計算を行う際に用いられる基底の一つ。実空間をメッシュで切り、各点を波動関数の基底ととる。原子局在基底と似ており、オーダーN法による高効率大規模計算の実装に向いていることや、境界条件の自由度の高さが特色である。実際の電子状態計算では、波動関数が従う方程式(コーン・シャム方程式など)は差分方程式として表現され,これを適当な補間法 (有限要素法やスプライン補間法など) のもとで解くことになる。

実行ジョブ管理

スパコンなどの大規模共用計算機では、ユーザは使いたい計算機資源(計算機の数と時間)を要求し、ジョブ管理システムから動的に割り当てられた資源を使って計算(一般にジョブと呼ぶ)を行う。この一連の流れを補助するために、自動で資源申請を行ったり、割り当てられた資源を自動的にうまく使ったり(負荷分散・ロードバランス)、計算の途中経過を保存・再開したり(チェックポイント機能)、計算結果を入力とともに保存・管理・整形したりする機能を持ったツール・ライブラリが存在し、本サイトではこうした機能を「実行ジョブ管理」と称する。

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時間依存密度汎関数法(TDDFT)

時間依存する多電子系の電子状態を密度汎関数法の枠組で取り扱う手法。通常の密度汎関数法では、基底状態のエネルギーが電子密度の汎関数で与えられることを前提とするが、これを時間依存する系へと拡張して、時間依存する電子密度についての汎関数を構成することができる(ルンゲ-グロスの定理)。この汎関数から導かれる方程式を解くことにより、分子や固体の電子状態の時間発展を高速に計算することができる。強い外場下での非線形応答を議論できることが特徴であるが、系の線形応答(光学応答や誘電応答など)を計算する際にも用いられる。多くの第一原理計・量子化学パッケージでサポートされており、代表的なものとしてVASP, CASTEP, ABINIT, QUANTUM ESPRESSO, PHASE, Gaussian, GAMESS-USなどを挙げることができる。