古典モンテカルロ法
物性物理学の文脈では,イジングモデルや古典ガスモデルなど古典統計力学モデルを対象として用いられるマルコフ連鎖モンテカルロ法によるシミュレーション法のことを「古典モンテカルロ法」と呼ぶ.代表的なものはメトロポリスーヘイスティングス法によるものである.シミュレーテッドアニーリングのために行われるマルコフ連鎖モンテカルロ法も古典モンテカルロ法の一種である.とくに系の構成要素(イジングモデルの場合の個々のスピン変数など)を一つずつ選択しては更新する方法は局所更新法と呼ばれる.局所更新法では臨界点近傍で収束が遅くなる(臨界緩和)現象が一般にみられ,その欠点を解消するために多くの構成要素を一度に更新するクラスター更新法などが考案されているが,個々の問題に応じてアルゴリズムをデザインする必要があり,局所更新法に比べて有効な適用範囲が狭い.