テンソルネットワーク法
テンソルネットワーク法は,テンソルネットワーク(多数のテンソルからなるテンソル積を部分的に縮約したもの)による表現を利用した計算手法の総称.古典統計力学モデルの分配関数計算や離散空間量子多体系の基底状態での物理量期待値を求める用途などに利用される.とくに,量子系への応用は,テンソルネットワーク状態(TNS)を変分関数とする変分法がよく知られている.テンソルネットワーク状態とは,適当な直交基底系で状態を展開したときの展開係数が(通常系の自由度数に比例する個数の)テンソルの積であらわされるような状態のことである.用いられるテンソルが3階であるときが密度行列繰り込み群に対応する.密度行列繰り込み群の場合と同様,テンソルの次元を大きくすると任意の量子状態が表現可能になる.ネットワークの構造,テンソルの最適化方法,積の縮約方法のそれぞれについて複数の選択肢があり,テンソルネットワーク法はそれらの総称である.