米国立衛生研究所(NIH)の下で2004年より運用され始めた化学物質データベース。小さな分子を主に対象としているが、脂質やペプチドなどの大きな分子のデータも収集されている。構造や物性、毒性などの化合物の性質だけでなく特許や文献情報も含んださまざまな情報を調べることが可能。WebブラウザやPUG REST APIを介したアクセスだけでなくFTPサイトからのデータのダウンロードにも対応している。
化学物質データベースPubChemをPUG REST API経由で取り扱えるPythonラッパー。PubChemにあるデータを化合物名や構造情報から検索することができる。Pandas dataframeとして出力を受け取ることも可能。
文献から化学物質の情報を自動抽出するPythonツール。英語で書かれた論文などから自然言語処理アルゴリズムに基づき、物質名とそれに関連した融点やスペクトルなどの物性情報を抽出できる。
原子スケールの磁性をモデル化するために設計されたJuliaパッケージであるSunny.jlでは、平衡および非平衡状態における磁気現象を微視的モデルからシミュレーションできる。動的スピン構造因子の計算を容易にし、中性子散乱やX線測定などの実験データと直接比較することが可能。また、Landau-Lifshitzスピンダイナミクスを拡張してスピンをSU(N)コヒーレント状態として扱うこともでき、強い単一イオン異方性を持つ材料のモデル化に有用である。さらに、平衡および非平衡状態のスピン配置をサンプリングするための強力なモンテカルロアルゴリズムを提供されており、幅広い物理現象の研究に適用できる。
物質科学計算に特化した結晶構造の探索と特性予測のための高効率なフレームワーク。主に密度汎関数理論に基づく計算のセットアップ、実行、結果の解析を自動化することができる。数百万以上の結晶構造のデータを提供しており、材料探索のため高スループット計算に利用可能。さまざまなDFTコード(VASP, Quantum ESPRESSOなど)とのインターフェイスも用意されている。
タンパク質の立体構造を予測するためのAIシステム。タンパク質の一次配列(アミノ酸配列)からその三次元構造(折りたたみ構造)を予測することが可能。過去の数十万のタンパク質構造データベースを学習し、DeepMindを基盤とするディープラーニング技術を活用して、新しいタンパク質のアミノ酸配列からその立体構造を予測する。
結晶構造の対称性に関連したライブラリ。結晶構造を与えることで、対称操作や空間群、プリミティブセルの検知や、既約波数の生成といった、結晶構造の対称性に関連した操作ができる。C言語で作成されているが、PythonやFortran、Rustなどの様々なインターフェースが用意されている。
固体のバンド計算における波数パスを生成するツール。結晶の対称性に基づいた波数空間中の高対称点を特定し、それらを結ぶ標準化された「パス」を提供する。さまざまな結晶構造のフォーマット(POSCARやCIFなど)に対応しており、多くの電子構造計算ソフトウェア(VASP、Quantum ESPRESSO、ABINITなど)と連携可能。Webベースのインターフェースも提供されている。
第一原理計算から得たフォノン情報に基づき、格子熱伝導率を求めるためのボルツマン輸送方程式ソルバー。三次フォノン相互作用を考慮し、異方性結晶や複雑構造、欠陥を含む固体の熱輸送特性を第一原理的に解析できる。チュートリアルや入力支援ツールも整備されている。3次力定数を計算するツール(thirdorder.py)も同じサイトで公開されている。
点群や画像データに対して、パーシステントホモロジーという数学的枠組みを用いて構造の特徴を抽出するためのPythonパッケージ。物質科学の分野では、液体やガラスの構造の違いの特徴づけや、顕微鏡画像の次元削減などに用いられている。機械学習のための構造記述子としても有用である。