RESPACKを用いたSrVO3のワニエ軌道の作製(物性研スパコンohtakaでの使用例)
Last Update:2022/01/07
使用方法:
ここでは、RESPACKの物性研スパコンsystem Bでの使用方法について紹介します。
RESPACKはsystem Bにプレインストールされているので、それを使いたいと思います。
source /home/issp/materiapps/intel/respack/respackvars.sh
というコマンドが実行されるとRESPACKに含まれる実行体やスクリプトへのパスが通るようになります。system B上でRESPACKを使用したい場合、ジョブスクリプトに上述のコマンドを記入してください。
コンパイル条件に関しては
https://www.pasums.issp.u-tokyo.ac.jp/usage-respack
に記載されているように
less /home/issp/materiapps/intel/respack/respack-20200113-1.log
で確認できるようです。もしデフォルト設定(Intelコンパイラ、Intel MPI)ではなく、自分で環境を設定している場合はIntelを使用するようにしてください。
実行例:
system B上での実行例として、サンプルとして用意されているQuantum ESPRESSOを用いたSrVO3のワニエ軌道の作製を紹介します。RESPACKによる有効模型の作製の大まかな流れは、以下のようになっています。
- 第一原理計算ソフト(xTAPP,Quantum ESPRESSO )でバンドを求める。
- ユーティリティ(xtapp2respack.sh, qe2respack.py)を使って、第一原理計算の結果をRESPACK用のインプットへと変換する。
- calc_wannierを使って、ワニエ関数を作る。
- calc_chiqwを使って、誘電関数を計算する。
- calc_j3dとcalc_w3dを使って、電子間相互作用の直接積分項と交換積分項を計算する。
今回のレビューでは、上の1-3までの紹介になります。
それぞれのプログラムで何を行っているかは、RESPACKの公式サイト・マニュアルを参考にしてください。
またxTAPPやQuantum ESPRESSOの詳しい使い方は、以下の公式サイトや本サイトのレビューなどが参考になります。
- Quantum ESPRESSOの公式サイト
- xTAPPの公式サイト
- xTAPP の MateriApps LIVE! での体験記(2018.6.16)
- Quantum ESPRESSO の MateriApps LIVE! での examples の実行例(2018.6.17)
- QUANTUM ESPRESSOのohtaka(物性研スパコン)でのコンパイル・使用例
計算の準備
まずはQuantum ESPRESSO (QE)を使ってSrVO3の第一原理計算を行い、RESPACKを使うための準備をします。
サンプルフォルダをコピーして、そこに移動します。また、移動後にtmpという名前のディレクトリを作ってください。
cp -r /home/issp/materiapps/intel/respack/RESPACK-20171018-dist/sample/quantum-espresso/SrVO3.sc.6x6x6/ ./
cd SrVO3.sc.6x6x6
mkdir tmp
次にQE用のジョブスクリプトscf.sh、band.shをwgetを使ってダウンロードし、実行してください。SCF計算が終わった後に出力ディレクトリscfをbandという名前のディレクトリにコピーすることを忘れないようにしてください。
wget https://ma.issp.u-tokyo.ac.jp/wp-content/uploads/sites/3/2018/09/scf.sh
wget https://ma.issp.u-tokyo.ac.jp/wp-content/uploads/sites/3/2018/09/band.sh
sbatch scf.sh
cp -r tmp/scf tmp/band
sbatch band.sh
上述のジョブスクリプトを使うと、数十秒ほどで計算が終了します。
RESPACKの実行
次に、RESPACK実行のために必要なジョブスクリプト(wannier.sh)をダウンロードし、実行してください。
wget https://ma.issp.u-tokyo.ac.jp/wp-content/uploads/sites/3/2018/09/wannier.sh
sbatch wannier.sh
なお、RESPACKのインプットファイルは”input.in”です。これでRESPACKによってワニエ軌道が作製されました。
実行結果
実行ディレクトリ下にワニエ軌道に関する情報が出力されます。
作ったワニエ軌道のバンド構造とDFT計算で求めたバンド構造を比較するために、gnuplot上で
p[:][-3:3] “SrVO3.band.gnu” u 1:($2-12.5023) w l lc -1, “dir-wan/dat.iband” u ($1*2.57313218497098617116):($2-12.5023) pt 6 ps 1 lc 1, 0 w l lc -1
と打ってください。なお、12.5023はFermiエネルギーでSrVO3.scf.out内に出力されております。(Fermiでファイル内検索するとヒットします。)2.57313218497098617116はBrillouin Zoneのパスの長さです。
上図がプロットした結果です。黒の太い線がDFTの結果、赤丸がワニエ軌道の結果を示しております。赤丸は見やすくするために適宜ポイントを省いています。これを見ていただけるとわかるように、作ったワニエ軌道が元の第一原理計算のバンド構造をよく再現できていることがわかります。