MateriApps Installerを使ってCentOS 7にQuantum ESPRESSOをインストールする
Last Update:2022/02/01
1. はじめに
このレビューでは、MateriApps Installerを使って、CentOS 7にQuantum ESPRESSOをインストールする方法について解説します。ここでは、インストールに必要なツールやライブラリはできる限り既存のパッケージを使うことにします
2. GCC-8のインストール
CentOS 7のデフォルトのGCCは4.8.5と古いため、まずはyumを使ってGCC-8をインストールします。GCC-8は/opt/rh/devtoolset-8の下にインストールされるのでPATHを通した後、GCCのバージョンを確認します。また、f95コマンドでGCC-8のgfortranが呼び出されるよう/opt/rh/devtoolset-8/root/bin/gfortranへのリンクを張ります
sudo yum -y install centos-release-scl-rh
sudo yum -y install devtoolset-8
source /opt/rh/devtoolset-8/enable
gcc --version
sudo ln -s /opt/rh/devtoolset-8/root/bin/gfortran /opt/rh/devtoolset-8/root/bin/f95
注) 3行目の source /opt/rh/devtoolset-8/enable
はログインするたびに必要です。~/.bashrcの末尾にこの1行を記述しておけば、ログインするたびに自動的に実行されます
3. コンパイラ・ツール・ライブラリのインストール
yumを使って必要なツール・ライブラリをインストールします。なお、cmakeはcmake3という名前でインストールされるので、リンクを張ります。また、/usr/lib64/openmpi3/binにPATHを通しておきます
sudo yum -y install git cmake3 patch wget openmpi3-devel gnuplot
sudo ln -s /usr/bin/cmake3 /usr/bin/cmake
export PATH=/usr/lib64/openmpi3/bin:$PATH
注) 3行目の export PATH=/usr/lib64/openmpi3/bin:$PATH
はログインするたびに必要です。~/.bashrcの末尾にこの1行を記述しておけば、ログインするたびに自動的に実行されます
次に、EPELリポジトリからOpenBLASをインストールします
sudo yum -y install epel-release
sudo yum -y install openblas-devel
4. MateriApps Installerのダウンロード
cd ~
git clone https://github.com/wistaria/MateriAppsInstaller.git
~/MateriAppsInstallerにスクリプト一式がダウンロードされます
5. MateriApps Installer 環境のセットアップ
sh ~/MateriAppsInstaller/setup/setup.sh
~/materiapps が作成され、最低限必要なスクリプトがインストールされます
6. scalapackとQuantum ESPRESSOのインストール
まずはscalapackをインストールします。その後、Quantum ESPRESSOをインストールします
sh ~/MateriAppsInstaller/tools/scalapack/install.sh
sh ~/MateriAppsInstaller/tools/scalapack/link.sh
sh ~/MateriAppsInstaller/apps/espresso/install.sh
sh ~/MateriAppsInstaller/apps/espresso/link.sh
~/materiapps 以下に Quantum ESPRESSO他がインストールされます
7. チュートリアルの実行
まずは、$PATHなどの実行に必要な環境変数を設定します。Quantum ESPRESSOがインストールされている場所も環境変数$ESPRESSO_ROOTにセットされます
source ~/materiapps/espresso/espressovars.sh
注) 上の操作はログインするたびに必要です。~/.bashrcの末尾に上の1行を記述しておけば、ログインするたびに自動的に実行されます
例としてGaAsのバンド図を計算してみます
cd ~
wget https://github.com/cmsi/malive-tutorial/releases/download/tutorial-20210520/qe_GaAs.tgz
tar zxvf qe_GaAs.tgz
cd qe_GaAs
wget https://pseudopotentials.quantum-espresso.org/upf_files/Ga.pbe-dn-kjpaw_psl.1.0.0.UPF
wget https://pseudopotentials.quantum-espresso.org/upf_files/As.pbe-n-kjpaw_psl.1.0.0.UPF
pw.x < GaAs.scf.in > GaAs.scf.out
pw.x < GaAs.nscf.in > GaAs.nscf.out
bands.x < GaAs.band.in > GaAs.band.out
gnuplot -persistent plot.gp
レビュー記事「Quantum ESPRESSOを用いてGaAsのバンド図を書いてみよう」にあるバンド図が表示されば成功です