開発者の声
アプリの歴史
TAPPは、白石賢二氏(現 筑波大)など東大理・物理の植村、上村研究室の関係者が開発した平面波基底擬ポテンシャル全エネルギー計算プログラムPPSFを基礎骨格として、押山淳氏(現 東大工)のグループに在籍していた杉野修氏(現 東大物性研)が開発した共役勾配法による対角化コードを取り込んで、山内淳氏(現 慶大理工)などがウルトラソフト擬ポテンシャルに対応させたプログラムです。(1990年)このTAPPを2000年ごろ吉本が分岐させ、OpenMP および MPI やGPU並列などによる高速化、セル変形への対応、分子動力学の実装、コード全体の近代化などを行ったものがxTAPPです。
アプリの魅力
密度汎関数理論、擬ポテンシャル法と平面波基底の組み合わせによる第一原理電子状態計算コードの基本的機能を持ち、hybrid交換相関汎関数が整備されているなど、高精度の計算が可能です。またhybrid 汎関数については GPGPU 対応しているので、他のコードより速い計算が期待できます。また京コンピュータに対応しています。さらにGUIによる出入力の補助ツール(TAPIOCA)やOpenDXによる可視化プログラムを整備しており、入力が初心者の人にも分かりやすく、出力の可視化が簡便です。
アプリの将来性・応用可能性
第一原理計算手法を実装しています。必要な計算資源に対して得られる物理量・計算可能な系のサイズが良好で経済的な手法です。結晶、分子、表面など系を問わず利用できますが、電子相関の強い系に対する絶対的な近似精度は不十分な手法なのでこういった系では注意が必要です。1000原子程度までの系を扱うのに良い計算手法を用いています。京コンピュータなど大規模な計算機による原子構造の探索、統計集団の生成に用いることができます。数原子程度であればパソコンで十分計算できるため、教育向けにも活用できるでしょう。電子相関の高度な近似が必要な場合は、このプログラムの結果をGW近似、DQMCなどのコードに引き渡すことで高度な近似につなげることができるでしょう。
開発者の夢
コードの将来拡張として以下を考えています:エネルギー分解表示、電気分極、鞍点計算(Force inversionなど)、population解析。TAPPの関係者によって、これらは実装されたことがありますが、統合されていませんでした。また擬ポテンシャル生成については、webページによる提供を検討しています。また計算条件決定の自動化を進める予定です。