GSYSで実験データ図の数値読み取りをしてみる
Last Update:2025/06/11
1. 概要
GSYSはグラフの画像から、データを数値化する便利なソフトウェアです。Javaが動作する環境があればWindows, Linux, Macなどのどのプラットホームでも利用可能で、過去の出版論文に掲載されている実験のグラフデータから数値データにするのにとても役立ちます。ここではGSYS2.4を用いたMacでのデータ読み取り例を示します。詳しい使い方はGSYSの日本語マニュアルを参照してください。
2. インストール方法
まずJavaの動作環境を準備する必要があります(WindowsではJavaがうまく動作しない場合のためのexeファイルも用意されています)。まだインストールされていない場合は、Javaのサイトから対応するOSのインストールファイルをダウンロードし、インストールしてください。
次にGSYSのダウンロードページから最新のバージョンを選び、ダウンロードしてください。本記事執筆時点では最新版はGsys2.4.9.jarです。次にMacOSのターミナルを開き、ダウンロードしたディレクトリに移動してから、javaを起動させます。
cd (ダウンロードしたファイルのディレクトリ) java -jar Gsys2.4.9.jar
これにより、以下のような画面が立ち上がるはずです。
3. 使い方
ここでは例として、1911年に物理学者のカマリング・オネスが発見した水銀の超伝導の実験データ図[H. Kamerlingh Onnes, Commun . Phys . Lab . Univ. Leiden 124c (1911)]から数値を読み取ってみましょう。画像ファイルを入手して保存し、Gsysのメニューから「File」→「Open Image File」を選びます。
小さいAxis ManagerウィンドウからX軸の始点と終点の値、およびY軸の始点と終点の値を入力しておきます。またScaleはX,Y軸ともにLinearにしておきます。
次にX軸の始点と終点の位置を指定します。なるべくMagnifyボタンを押してなるべく拡大しておくといいでしょう。Xaボタンを押し、始点、終点の順に適切な位置で左クリックします。もし、始点や終点を設定した後で修正したい場合には、移動したい点をクリックして指定し、その後マウスで修正します。
次にY軸の始点と終点の位置を指定します。通常はYaボタンを押しますが、X軸と始点が同じ場合には*Yaボタンを押して、終点のみ指定することも可能です。ここでは*Yaボタンを押し、終点のみ指定します。
実験データ点の位置を指定します。Adボタンを押し、データ点の位置をマウスで指定してクリックします。Magnifyボタンによってなるべく拡大しておくと作業しやすいでしょう。
これで数値データを出力する準備ができました。「File」→「Open Image File」で新しいウィンドウを開き、Writeボタンを押すことで数値データが表示されます。さらにSaveボタンでファイルが出力されます。
出力したファイルをgnuplotでプロットすると以下のようになります。