Avogadroを使って分子構造のモデリングを行う
Last Update:2022/12/26
はじめに
Avogadroは多機能な分子構造のモデリング・可視化ツールです。Windows版、MacOS版、Linux版のバイナリが用意されており、簡単に手元のPCにインストールすることができます。ここでは、Macでの利用例を示しますが、WindowsやLinuxでもほぼ同様に使うことができます。
ソフトのインストール
Avogadroのダウンロードサイトにアクセスし、お使いのOSに対応したソフトウェアをダウンロードします。WindowsおよびMacの場合は、ダウンロードしたファイルをダブルクリックするだけで、インストール作業が開始されます。
分子構造ファイルの表示
Avogadroは様々な形式の分子構造ファイルを読み込むことができます。ここでは、Mac版でインストール時に作成される一時フォルダ中のExample Moleculesにある分子構造ファイルを読み込んで見ましょう。分子構造ファイルの読み込む方法は複数あります。ファイルを選択し、右クリックから「このアプリケーションで開く」→「Avogadro」として開くことができます。また起動したAvogadroから、「File」→「Open」として、ファイルを選択しても読み込むことができます。こうして分子構造データを読み込むと、すぐに画面に分子構造が表示されます。
下の画像は、Example Moleculesフォルダからporphyrin.cmlを読み込んだときの結果です。左上の手裏剣マークもしくは矢印のマークを押し、分子の画像上でマウスを動かすと、分子を回転させることができます。またマウスでスクロールの動作を行うと、分子の画像の拡大縮小が行なえます。
分子モデリング
Avogadroを使うと、簡単に分子のモデリングを行うことができます。新たにAvogadroをしたときには、黒い画面が表示されていますが、左上の鉛筆のマークを押した上で、黒い画面の中央付近をマウスで左クリックすると、下のようにメタンの構造が表示されます。
さらに水素をクリックしていくと、以下のようにエタン、プロパンが作成できます。
このように作成した分子模型は原子配置(原子間距離や結合間の角度)が適当なままですので、適切な分子の形状を得るために構造最適化を行いましょう。左上のEのマークをクリックしたあと、設定画面から「スタート」をクリックすると、最適化が開始されます。最適化の間に左上の指のマークのボタンを押して原子を選択して揺さぶることができます。
次に鉛筆のマークをクリックして、元素のプルダウンを「酸素(Oxygen)」にしてみましょう。そのあと、水素の位置でマウスを左クリックすると、エタノール基に置き換えられます。こうしてプロパノールの分子モデルができます。
おわりに
Avogadroは様々な分子構造ファイルを読み込むことができますので、簡易的な形式変換ソフトとして使うことができます。またPDBなどの有名データベースとの連携や、量子化学計算の入力ファイル生成など、いろいろな機能があります。論文やプレゼンに使う分子構造の図の作成にも便利ですので、気軽に試してみてください。