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Bader Charge Analysis

  • 公開度:3 ★★★
  • ドキュメント充実度:2 ★★☆

分子や固体の電子密度を各原子に帰属するBader解析を行うツール。LinuxとmacOS向けのバイナリ、及びソースコードがGPLライセンスで配布されている。プログラムはfortran90で記述されており、VASPのCHGCARフォーマットおよびGaussian Cubeフォーマットの電子密度データファイルに対応している。

NaCl結晶のBader電荷解析
Last Update:2021/12/09
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執筆: MateriApps開発チーム (2020/2/19)

電子密度を各原子からの寄与に分割する方法には様々なものがあります。その中でも、電子密度の勾配がゼロになる面で分割するBader解析は、Mulliken解析などに比べて基底関数への依存性が小さいなどの利点があり、よく使われている方法の1つです。ここではQuantum Espressoを使用して、NaCl結晶のBader解析を実行してみます。次の手順は、MateriApps Live!2.4でテスト済みです。

baderプログラムのインストール

Quantum EspressoはMateriApps Live!にプリインストールされていますが、Bader解析を行うには、解析用のプログラムを別途インストールする必要があります。ここでは、Henkelman Groupのbaderプログラムを利用します:

$ wget  http://theory.cm.utexas.edu/henkelman/code/bader/download/bader_lnx_64.tar.gz
$ tar xzvf bader_lnx_64.tar.gz
$ mv bader ~/bin

Quantum Espressoによる電子密度の自己無撞着計算

まず、全電子密度を得るため、Quantum Espressoで自己無撞着計算を行います。以下の入力ファイルを準備して、”NaCl.scf.in”という名前をつけましょう。

&control
calculation = 'scf'
prefix = 'NaCl'
pseudo_dir = './'
wf_collect = .true.
/
&system
ibrav = 2
celldm(1) = 10.66
nat = 2
ntyp = 2
ecutwfc = 60
ecutrho = 244
/
&electrons
mixing_mode = 'plain'
mixing_beta = 0.7
conv_thr = 1.0d-8
/
ATOMIC_SPECIES
Na 1 Na.pbesol-spn-kjpaw_psl.1.0.0.UPF
Cl 1 Cl.pbesol-n-kjpaw_psl.1.0.0.UPF
ATOMIC_POSITIONS
Na 0.00 0.00 0.00
Cl 0.5 0.5 0.5
K_POINTS {automatic}
8 8 8 0 0 0

この例では、擬ポテンシャルとして、Quantum Espressoのホームページのpslibraryに公開されているPBEsolポテンシャルを使います:

  • Cl: https://www.quantum-espresso.org/upf_files/Cl.pbesol-n-kjpaw_psl.1.0.0.UPF
  • Na: https://www.quantum-espresso.org/upf_files/Na.pbesol-spn-kjpaw_psl.1.0.0.UPF

コマンドラインからは、以下のようなコマンドでダウンロードできます。

$ wget https://www.quantum-espresso.org/upf_files/Cl.pbesol-n-kjpaw_psl.1.0.0.UPF
$ wget https://www.quantum-espresso.org/upf_files/Na.pbesol-spn-kjpaw_psl.1.0.0.UPF

Quantum Espressoを実行してみましょう。

$ pw.x < NaCl.scf.in > NaCl.scf.out

電子密度グリッドデータの出力

Quantum Espressoが正常に完了したことを確認したら、次に、Quantum Espressoの出力を電子密度ファイルに変換します。Quantum Espressoパッケージには、このためのツールpp.xが用意されています。 なお、Bader解析を実行するには、全電子密度と価電子密度の両方を準備する必要があります(その理由についてはこちらまたはこちらが参考になります)。価電子密度の入力ファイルは次のとおりです(NaCl_val.pp.inという名前にしましょう)。

&inputpp
    prefix  = 'NaCl'
    outdir = './'
    filplot = 'NaCl_valence'
    plot_num= 0
/
&plot
nfile = 1
iflag = 3
output_format = 6
fileout = 'NaCl_valence.cube'
/

全電子密度を出力するための入力ファイルは以下のようになります (NaCl_all.pp.in):

&inputpp
    prefix  = 'NaCl'
    outdir = './'
    filplot = 'NaCl_allelec'
    plot_num= 21
/
&plot
nfile = 1
iflag = 3
output_format = 6
fileout = 'NaCl_allelec.cube'
/

入力ファイルの最後に空行がないと、pp.xは読み込みに失敗しますので注意してください。この場合の2つの入力ファイルの最も重要な違いは、fileoutで指定されたファイルに書き込まれる物理量(全電子または価電子密度)を指定するplot_num行です(その他のオプションについてはこちらを参照)。 pp.xを次のように実行します。

$ pp.x < NaCl_val.pp.in > NaCl_val.pp.out
$ pp.x < NaCl_all.pp.in > NaCl_all.pp.out

Bader charge analysis

これで、Bader解析のための電子密度ファイル(*.cube)が準備できました。baderプログラムを実行します。

$ bader NaCl_valence.cube -ref NaCl_allelec.cube

各原子のBader電荷はACF.datファイルに出力されます:

    #         X           Y           Z       CHARGE      MIN DIST   ATOMIC VOL
 --------------------------------------------------------------------------------
    1  -10.660000   10.660000   10.660000    8.140837     1.940149    64.992061
    2   -5.330000    5.330000    5.330000    7.859147     2.931500   237.846813
 --------------------------------------------------------------------------------
    VACUUM CHARGE:               0.0000
    VACUUM VOLUME:               0.0000
    NUMBER OF ELECTRONS:        16.0000

これは、16個の価電子のうち、8.14がNaに、7.86がClに割り当てられていることを示しています。これをイオンの価数に変換するには、内殻に固定されている電子の数を知る必要があります。
Na、Clの各擬ポテンシャルファイルの下記の行を確認します。

    Valence configuration:
    nl pn  l   occ       Rcut    Rcut US       E pseu
    2S  1  0  2.00      1.000      1.250    -4.158089
    3S  2  0  1.00      1.000      1.250    -0.198813
    2P  2  1  6.00      0.900      1.300    -2.106125
    Valence configuration:
    nl pn  l   occ       Rcut    Rcut US       E pseu
    3S  1  0  2.00      1.200      1.600    -1.515413
    3P  2  1  5.00      1.300      1.600    -0.629258

ここでは、価電子として扱われている電子軌道が示されており、これらより内殻の電子が固定されていることになります。Naの擬ポテンシャルでは2個の1s電子が内殻軌道に固定されており、Clの擬ポテンシャルでは2個の1s電子、2個の2s電子、および6個の2p電子が内殻軌道に固定されていることが分かります。よって、Naの総電子数は(2 + 8.14)= 10.14、Clの総電子数は(2 + 2 + 6 + 7.86)= 17.86となります。 NaおよびClの原子番号からこれらの値を引くことで、各イオンの価数を計算することができます。最終的に、各イオンの価数はNa0.86+およびCl0.86-となります。これは、±1の形式電荷よりもわずかに小さく、典型的なイオン結晶と見なされるNaClの系でさえ、ある程度の共有結合性を有することを示しています。

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