開発者の声
藤堂 眞治(東京大学 大学院理学系研究科/物性研究所)
アプリの歴史
ALPSの原型となる強相関量子格子模型のモンテカルロシミュレーションのためのスケジューラの開発は、1998年まで遡ります。その後、ALPSプロジェクトとして、モンテカルロ法以外のシミュレーションも含めて開発が進み、2004年にバージョン1.0がリリースされました。その後、DMRGなどのアプリケーションを加えながらバージョン1.3までリリースされた後、2011年には、Windows対応、HDF5対応などが含まれた新バージョン2.0がリリースされました。2015年現在、バージョン2.2の開発が進められています。
アプリの魅力
ALPSでは、任意の格子上の様々な量子模型を扱うことが可能です。あらかじめ用意されていない格子、ハミルトニアンについては、XML言語を用いてユーザ自身が定義することも可能となっています。厳密対角化や量子モンテカルロからDMRG、DMFTまで、数多くの最先端アプリケーション(ソルバー)が用意されています。高性能なスケジューラを備えているため、PCからスーパーコンピュータまで幅広いシステム上で並列実行ができます。ほぼ全てのアプリケーションで入出力が共通化されており、興味のある現象や物理量に応じて、最適なアプリケーションを使い分けることも容易です。
アプリの将来性・応用可能性
「京」などの最先端のスーパーコンピュータ上で実行される、大規模かつ効率的なアプリケーションとしてだけでなく、日常的な用途として、例えば実験家自身による実験結果との比較や、理論家による新規アルゴリズム開発時のリファレンス実装としてなど、幅広く利用されるようなアプリケーションとして開発を続けていきたいと考えています。
開発者の夢
強相関量子格子模型シミュレーションのデファクトスタンダードを目指しています。学部や大学院講義から、物質科学の最先端の研究まで、幅広く利用してもらうことを夢見ています。